乗り物酔い研究者の野田哲哉です。
乗り物酔いが起こるのは乗り物の中で人が自分の調節能力を遥かに超えた揺れを受け、平衡機能障害と胃腸障害を起こすからです。乗り物が動き出した瞬間から体全体が揺れますが、特に内耳、目、胃腸が揺れます。平衡機能障害がある程度の時間続くと吐き気や嘔吐といった胃腸症状が現れます。これが乗り物酔いです。胃腸症状には個人差があり、現れやすい人と現れにくい人がいます。
図1(クリックすると大きく表示します)図1は私の考え方の基本を示しています。通常の動作では中枢が体や目の動きを調節し、平衡機能障害は起こりません。たとえば、頭を左右方向にゆっくり動かすと周囲の景色がぶれません。これは前庭眼反射といわれるもので、内耳、中枢、目の筋肉の働きにより頭が右なら目が左へ、頭が左なら目は右へ動き、中枢が目の動きを調節しています。自律神経系も胃腸症状を起こさないように中枢が調節しています。
乗り物の中では通常の動作はできず、中枢の調節が破綻します。この調節破綻で面白いことが二つあります。ひとつは平衡機能(体性神経系)がすぐに破綻しますが、人は幼い頃から乗り物に乗っているために、平衡機能障害が起こっていても異常なことだとは認識しないことです。もうひとつは自律神経系の調節能力が高く、簡単には破綻しないことです。乗り物の中でずっと異常なことが続いているにもかかわらず、異常を感じるのは胃腸症状が現れてからになります。
乗り物酔いは頭が揺れると起こりやすくなりますので、自分で頭を振って乗り物酔いの症状が起こせます。できるだけ激しく左右に頭を動かすと景色が左右にぶれて見えます。上下に激しく動かすと上下に景色がぶれて見えます。これは中枢が目の動きを調節できなくなり、平衡機能障害を起こしているからです。私は乗り物に酔いやすく、激しく頭を振ると10秒ぐらいで吐き気が現れます。激しい頭振りですぐ吐き気が起こる人は乗り物酔いを起こしやすいようです。通常の動作で胃腸障害が起こらないように強く調節している人ほど、平衡機能障害を起こした時に胃腸障害が起こりやすいと考えられます。
乗り物酔いは一般的には感覚混乱によって起こると言われていますが、景色がぶれて見えることは感覚混乱を意味します。感覚混乱を起こさないように目を閉じて激しく頭を振っても吐き気が現れます。つまり、感覚混乱がなくても乗り物酔いは起こります。感覚混乱は平衡機能障害に伴う2次的な現象です。
「乗り物酔い」では乗り物酔いの発症、頻度、対策などを説明しています。このホームページを作ったのは2012年11月23日で、これまでに多くの質問がありましたので、終わりのほうに「12.質問に対する回答」という欄を作りました。
「乗り物酔いの平衡機能説」は私のこれまでの乗り物酔い研究のまとめです。
2019年12月7日の日本耳鼻咽喉科学会長崎県地方部会学術講演会で「乗り物酔いにおける感覚混乱と平衡機能障害との関係」を発表しましたので、その内容を論文にしました。
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2020年3月24日更新
1956年6月 | 長崎市に生まれる |
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1982年3月 | 長崎大学医学部卒業 |
1982年6月~ | 長崎大学医学部耳鼻咽喉科および関連病院勤務 |
1992年6月~ | 田川市立病院耳鼻咽喉科勤務 |
1996年6月~ | 国立長崎中央病院(長崎医療センター)耳鼻咽喉科勤務 |
2002年9月 | 野田耳鼻咽喉科開院 |
(資格)
1990年3月 | 日本耳鼻咽喉科学会専門医 |
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1992年1月 | 学位(医学博士)取得 |
医療機関名 | 野田耳鼻咽喉科 | 診療科目 | 耳鼻咽喉科 |
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院長名 | 野田哲哉 | スタッフ | 看護師4名、事務員3名 |
診療時間 | 月・火・水・金/9:00~12:00、14:00~18:00 木・土/9:00~12:00 | ||
駐車場 | 18台収容可 |
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